歯周病治療の師匠
私は今までの職歴は歯科業界で働く人間としては異質ですが、高校1年生の時からマクドナルドで週4日働き、週3日は親戚の開業する歯科医院でアルバイトをしていて(母子家庭なので学費を稼ぐため)、衛生士の学生時代は同じく親戚の歯科医院でアルバイトをしながらしながら、週末や歯科医院のバイトが入っていない日はとにかく時給の良かった配膳のバイト(ポートピアホテルやホテルオークラの婚礼や宴会のお給仕係り。アルバイトとはいえほんとに接客指導が厳しかったのでマクドナルド同様接客技術や言葉遣い、立ち居振る舞いはここで身につけたといっても過言ではありません。学生時代のアルバイト経験は社会人になって役立つと今更ながらに感謝しています)
そんなわけで歯科の世界には高校生から携わっており、資格を取ってから製薬会社や雑誌社に籍を置いていても週末には休日歯科診療所やフリーランスで歯科医院にアルバイトなどに行っていたので、常勤ではないにしろ歯科医療に携わるようになってかれこれ18年くらいになるでしょうか。
現在、当院スタッフは18歳と19歳です。
今のスタッフと同じ年くらい歯科に関わってきたのかと思うと私自身年をとったなぁと妙なところで感じる今日この頃です(苦笑)
歯科臨床がとにかくキライでキライで卒業後に外資系製薬会社や雑誌社(外資系製薬会社は入社4年目にM&Aされてしまい、人材バンクを通して雑誌社に入社)で働いていたのですが、歯科の世界は非常に縦社会で先輩の言うことは「絶対」。(今の若い人は違うようですが)
「歯科で働きなさい」のお世話になった教員の先生の鶴の一声で、歯科臨床の道に進むことになりました。
そこでお世話になった医院。まぁ…その私達仲間内では「ほんっとにやかましくて細かいし変わった先生」で有名。私は歯科臨床を常勤でしていなかったのでややブランクがあったため最初はあまりうるさく指導されずにいたのですが、業務に慣れてくると本当に厳しく指導されました。接遇とかではないですよ。歯科医療技術の指導です。基本中の基本である「清潔不潔」から「アシスタントワーク」から始まり、その先生と取り組んだのが「歯周病治療の技術向上」。
その先生自体もまだ「歯周病」については勉強を始めたところで二人三脚で勉強会に行きとにかく患者様で実践。歯周病検査からスケーリング(歯の上の歯石除去)、SRP(スケーリングで歯の上の歯石をとった後に歯肉の中の歯周病の原因である歯石除去や膿袋の除去)など、いちいち施術後に先生に「確認お願いします」と言ってチェックを受け、姑のように重箱の隅をつつくかのような確認でもしきちんと出来ていなかったら「やり直し、一体どこを治療したんや!!」と怒られもう一度施術しなおし…。
治療に対する執念というかこだわりはすごい先生でしたが、ついていくほうは正直大変(苦笑)「巨人の星」なみの熱血指導を受け、よくその先生とも治療方針や患者様への対応など医院改善のためのケンカをしたものでした。
その先生のお陰でかなり歯周病の治療については技術向上できました。今の私があるのもその先生のお陰であると感謝しています。私の歯周病治療の原点であり師匠でもあるのがその先生です。
その後、体調を崩して常勤が難しくなったので歯科衛生士のフリーランスになり、縁あって大学病院に入職したわけです。
それだけ「こだわり」のある先生ですから、とてもよく勉強されていて治療技術の腕は非常にいいです。私の治療ははっきり言ってその先生にしかしてもらいたくないと思っていますし、実際にその人にしか治療をしてもらっていません。(主人には大変申し訳ないのですが…。主人にもその先生くらい勉強してほしいので「○○先生くらい勉強したら私の口を診て」と言ってスケーリングや外科処置以外殆ど触らせません。それくらい勉強する先生でした)
臨床にこだわりが強すぎるので経営面や接遇・スタッフ教育・患者様対応などがやや疎かになる傾向のある先生だったので『医院運営』についてその先生とよく話をしたものですが、お互いに頑固なのでいつもケンカになり「もう君は君なりにしたら!」と疎遠になってしまいましたが…。
実のあるケンカ(といっても大人の意見交換のようなものですよ)はその時は腹立たしいものですが冷静になってみると「ああ、そんな意見もあるんだな」と、考えさせられる事もしばしばでした。
私は歯科医師の先生はかなり知り合いが多いのですが、みなさんこだわりのなく日々診療に流されがちの方が多い中で、数少ない「強いこだわり」を持った先生でした。
最後にオチですが、その先生は自分の技術の非常にこだわりがある方なのと「宣伝はキライ」なのでHPを持つ事をかたくなに拒んでいた(私は在籍中にすすめたのですが)のに去年あたりから某コンサルトを入れたようでHPが出来ていました。
拝見したら…当院のHP(当院HPの作成は業者に委託しましたが、記載内容は私が全て文章を起こしてデータを渡し「コピーペースト」してもらっていますので、HP内で書かれている文章はほぼ私が書いた原稿です)の文章がそのまま転載されているところがあり苦笑いしてしまいました。
当HPやこのコラムは知り合いの他の歯科医師の先生もそのまま転載流用している方を数名存じ上げているのですが、とくにHPに関しては一応著作権がありますので私の書いた文章をそのまま流用や転記する時は一言声をかけて下さいね。
話がそれましたが、歯科の技術は日進月歩です。本当にきちんと勉強しておかないと技術が進化して行きます。主人と私は同期卒業なのですが私達の時代に習った教科書の内容は今の若い先生や最新技術では全く通用しません。
ですが、古い先生方はその治療でまかり通っています。怖い時代ですね。同じ保険診療でもきちんと勉強されている先生とそうでない先生の技術や使っている材料は天地ほど差があります。ですので、少し腕の立つ先生は保険診療がバカらしくなって自費診療に移行する傾向があります。きちんと勉強する先生が損をするなんてバカらしいですから私はそれには賛成です。
師匠の先生のHPを拝見すると先生なりに頑張ってらっしゃるようです。当院も負けずに頑張りたいと思います。
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