恐怖!口腔外科受診
私の病気は膠原病なのですが、膠原病というのは「自己免疫疾患」という病気の大きなくくりをさすものでいろいろな病気があります。よく耳にされる「リウマチ」も膠原病の一つです。私は膠原病の中で「全身性エリテマトーデス」と「シェーグレン症候群」を併発していました。
「シェーグレン症候群」というのは、簡単に言うと唾液や涙腺などの体液の分泌が少なくなる病気です。
「唾液」とつくからには実は「口腔外科」の領域でもあるわけです。
そう、うちの専門は「口腔外科」。
「シェーグレン症候群」の検査は「口腔外科」でも行います。どのような検査をするのかというと唾液腺に異常がないかということで「リップバイオプシー」という唇の内側の唾液腺の細胞を切り取り病理検査に出すという検査や、唾液腺造影、ガムテストという唾液量の検査があります。
そう、うちの専門は「口腔外科」。
どんな検査なのかはよ~~~く、知っています。
知っている検査、というのは本当に怖いんです。
内科や他科の検査なら何をされるか分からないので逆にまだ気分的に楽なんですけど、どこをどうするのか分かっている検査ほど怖いものはありません。
某田辺市内の入院中の病院の口腔外科で検査を受けました。
主人の顔見知りの先生です。先生も私も検査や施術がやりにくいことこの上無しでした(苦笑)
私が口腔外科で行った検査はリップバイオプシー(唇を切る生検)と唾液腺造影、ガムテストでした。
最初の検査は「リップバイオプシー」。当院でも唇や口の粘膜に出来る腫瘍などの手術をよく行っているのですが、患者様には「少し唇や粘膜を切りますが大丈夫ですよ」なんて手術の介助につきながら言っていたのですが、手術につくのと患者の立場に立つのでは天地の差。
…本当に怖いです。
消毒をされて顔に覆布をかけられて施術が見えないとはいえ、「あ、今メスが入った」「あ、今唾液腺を取ってる」「縫われてる」と手順が分かるので怖いことこの上ないです。怖くて怖くて全身汗だくでした。情けない話ですね(笑)普通に施術を受けている患者様はすごい!と尊敬してしまいます。
リップバイオプシー手術の後きっちり麻酔は2時間で切れ、口唇がずきずき、腫れてたらこ唇に。しかも痺れ(麻痺)が出てしまったので痛いのに感覚がないという不思議な状態。よく見ると5針縫っていました。さらにその日の夕食の入院食はよりによってカレー。口の手術後は刺激物は禁忌です…もちろん沁みるし痛いし食べれませんでした。
その夜、主人がお見舞いに来てくれて「どうやった、口腔外科?」とニヤニヤ笑っていました。「どうせならやってほしかったわ」というと「身内の手術は気持ち悪いからようせんわ」とのこと。やはり他人だから出来るものなんですね。
結構傷口が大きかったので抜糸まで1週間ですが、この1週間の間糸がぴらぴらして気持ち悪いことこの上ない。
早く糸抜いて~!
主人にも「もうこれ傷口大丈夫でしょ?抜いても良いよね。自分で抜糸しようかな」と言うと「ちゃんと先生の言うこと守りなさい」と怒られました(苦笑)
「唇の手術後は痺れが出る事があります」と当院でも口唇手術を行う方にはお伝えするのですが、私の場合口唇の痺れ(麻痺)が消えるまでに3週間もかかりました。今度から当院で口唇の手術をされる方には「1ヶ月ほど痺れますが徐々に改善します」と伝えるようにしたいと思います。
リップバイオプシーの傷が癒えた後には、次は唾液腺造影でした。私の場合、ガムテスト(ガムを噛んで10分間で唾液がどれくらい出るかのテスト)で唾液分泌量が極端に少なかったため唾液腺造影をすることになりました。唾液腺造影というのは舌の下にある舌下腺に眼科でつかう涙腺プジーという針のようなもので唾液腺を広げて造影剤を唾液腺に流し込みレントゲンを撮るというものです。
私は唾液腺が細く何度刺しても唾液腺にプジーが入らない…。
「あれー、プジー入らないなあ」と先生も何度も唾液腺をつつくので痛くて痛くて泣きそうになりました。やっと入ったと思ったら急いでレントゲン室まで走らされて(病院口腔外科なので外来からレントゲン室が遠い遠い…)撮影しましたが、唾液腺に造影剤を入れるのに先生がてこずったため先生だけレントゲン防御の鉛エプロンをきちんと着ているのに、患者の私はエプロンを忘れられて撮影されてしまいました。妊娠の可能性がないので別に構わないのですが先生の焦りようが同じ業種の人間としては気持ちが分かるだけに「エプロン下さい」とは言えずじまいでした。
唾液腺造影後は造影剤が漏れてしまい、舌下が腫れて腫瘍状態に…。
「ごめん、漏れちゃった。たぶん吸収してくれると思うけどもし腫れが引かなくてラヌーラ(腫瘍)になったら真砂先生に処置してもらって下さい」と先生。そんなぁ…。
その日の夜も何故かハヤシライスでした。もちろん食べれませんでした(苦笑)
検査の結果、限りなく黒に近い「シェーグレン症候群」とのこと。
シェーグレンは口腔乾燥がひどいです。私も口の渇きがひどく診療中もよく水分補給をしないと口がカラカラでした。来院される方の口腔乾燥の9割近くが加齢による唾液腺の老化や更年期障害、睡眠薬や糖尿病などの薬による副作用による唾液量の低下ですが、やはりシェーグレンの方もいらっしゃいます。
シェーグレンの口腔乾燥は対処療法しか手立てがなく、口腔内を清潔にする、水分補給をよくする、口腔保湿剤を使うなどがありますが、私は口腔保湿剤は味が嫌いで使えませんでしたのでこまめに水分補給をしています。
口の渇きは症状は結構辛いものがあります。これはなってみないと分からないものですが…。
口腔外科だけではなく色々な科で切ったり貼ったり、採血したりと痛い検査も多かったのですが、一番イヤで怖かったのは「口腔外科」であることは間違いありませんでした。口の手術は私が言うのもなんですけど、怖いですし神経の集中している場所なので痛いですね。よい経験になりました。これを機に患者様には「口の手術は痛いです」ときちんと伝えようと思います。
なんでも「患者様」の立場にならないと分からないものですね。よい勉強になりました。
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