「検査数値」重視?それとも「QOL」重視?
大きな病気になってはじめて患者様の立場というものを理解できたのですが、一応医療関係者でもあるので医療サイドの気持ちも両方分かってしまいます。
研修医を終えた若い先生や3年目くらいの若い医療スタッフというのは、どうしても「検査数値」にばかり目が行き過ぎて患者様の訴えや症状などよりも「数値がすべて」という傾向があります。よくあるのが「○○が痛いんですけど…」「検査で問題ないので経過を見ましょう」で終了、というパターン。患者サイドからすると「え?ちょっと症状が出てるのに…」と不満が残ります。
逆にベテランの年配の先生やベテラン医療スタッフになればなるほど「検査数値」も見ますが患者様の訴えや症状に耳を傾けてくれるケースが多いような気がします(そうでない方もいますが)「検査結果は大きな問題ないようですが症状が出てますからとりあえずお薬出しておきましょうか」と症状緩和のために薬などを処方を出すケースがままあります。ビタミン剤などの「おまじない」のような薬のケースが多いですが患者様からするとなんか安心するような気がしますよね。
やはり医療関係者も年をとってそれなりに経験をつんでくると「数値」だけでは片付けられない人間の「心」の部分も見えてくるわけで。
医療の世界には「QOL」という言葉があります。「クオリティー・オブ・ライフ」の頭文字をとって「QOL」です。簡単に要約すると「快適に生活を送れるようにする」とでもいいましょうか。
臨床をそれなりに長くしていると「検査結果」だけでは推し量れないものが存在することがうすうす分かってくるんですよね。
大学病院などの高度先進医療施設では「検査結果がすべて」の世界なので検査数値ありきの治療になりますが、地域密着型の開業医ともなれば「検査結果」だけでなく患者様の「QOLを保つ」ということが優先順位になるかと思います。
医療の役割分担とでもいいましょうか。
私たち地域医療に携わるものは「患者様のお話に耳を傾けて少しでも心の負担が軽くなり症状が改善するように」傾聴する、というのが大切なんだなと最近強く感じるようになりました。
特に自分が病気をしてからですね、そう思うようになったのは。白衣を着ている医療スタッフに自分の訴えや辛さなどの話を聴いてもらえるというのも、すごく心が癒されます。
「訴えに耳を傾ける」、「大丈夫ですよ」と笑顔で応答する、「大変でしたね」と労いの言葉をかける、「無理せずにしてくださいね」と肩に手を添える。
「検査数値」も大切です。でもそういった「検査数値」だけでなく血の通った言動こそが患者様を癒すんじゃないでしょうか。
それも立派な治療の一環だと思います。
白衣を着たときはできるだけ患者様の言葉に耳を傾けるよう微力ながら努力をしています。なぜなら自分が「病気」で患者様のその辛い気持ちが痛いほど分かるから。
どうすれば患者様のお話をきちんと聴けるのか、どうすれば患者様を癒してさしあげることができるのか…いろいろ考えた結果、きちんと「臨床心理学を学びたい」と思うようになり大学に編入しました。
病気と家事と仕事と勉強の両立は大変なので、きちんと卒業できるかどうかはわかりませんが私なりに「検査数値」だけではなく「QOLを向上できるような」医療を提供できる人間になりたいと努力している毎日です。
まだまだ「ベテラン」の域にまでは達していませんが、皆様に「まさご歯科に来てよかった」と思っていただけるような医院作りを主人・スタッフともどもできればいいなと思っています。
「検査数値」も大切ですが、なによりも「QOL」が大事!
それが病気になってからの私の医療方針です。
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