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2010年5月 9日 (日)

「がん」と闘うこと

今日、ある方から私の携帯宛にメールが着ました。

「妻は天国へ向かいました」

同じ病院の同じ病室で共に2ヶ月を過ごした方が先ほど急変でお亡くなりになりました。

その方はガン闘病中で入院中に私を娘のようにかわいがってくださった50代の女性でした。

ご自身は抗がん剤や放射線治療で苦しいはずなのに、私が薬の副作用で気分が優れずダウンしているのを気遣ってくれたり、その方の旦那様や私の主人共に「病気」を通じて家族ぐるみでお付き合いさせてもらっていました。

つい先日、通院で病院を訪れたときに「少ししんどいけど、頑張るね」と言葉を交わしたのが最期になりました。

お亡くなりになる前の日、昨日になぜか胸騒ぎがしてその方の携帯にメールをしました。もちろん返信はありませんでしたが、きっと知らせてくれたんだろうなと今になって感じます。

最期の最後まで、ガンと闘われた方でした。

「もう闘わなくてもいいんだよ、本当に、本当にお疲れ様でした」

そう心からご冥福をお祈りしました。

不思議と「悲しい」「つらい」という感情ではなく、「無」「虚」という感情が押し寄せてきます。命の「はかなさ」をしみじみと感じます。

私も医療従事者です。大学病院職員時に受け持った患者様をお見送りしたことは何度かあります。でも白衣を着た立場の「死」と患者側から感じる「死」は全く違うものだと思いました。

病気は色々な意味で私の人生観を変えました。

その方の闘病は「壮絶」で凄まじいものでした。

ご本人はあえて「ガンと闘う」ことを選ばれました。

何度も何度も抗がん剤や放射線治療を繰り返し、傷ついていく身体を見ているのが正直つらかったです。私も一応ガン治療についての基本的な医療的知識はあります。同じ病室にいますから意識しなくても病状の変化がわかってしまいます。

私が退院してからもよくお見舞いに行っていたのですが、行くたびに痛みから受持ナースが手渡す麻薬の量が日々増えていってること、麻薬で日中うつらうつらする時間が増えてきていること、腫瘍が大きくなってきていること、全身に浮腫ができてきていること…悪化を意味することです。

「もうメタメタなんかも…」

主人に言うと「リンパ系のカルチは僕も担当したことがあるけど、つらいな」と。

「メタメタ」とはガンが全身に転移しているということ、「カルチ」はガンの医療用語です。

主人も口腔ガンを担当してきていたのでターミナル(終末医療)は数多く見てきています。ですがやはり白衣側の立場で見るのと一知人として見るのとでは全く違うと言いました。

その病院にはターミナルの方を専門とする「緩和ケア病棟」がありました。ペットや家族と最期の時間を過ごすための病棟です。積極的な治療はせず、痛みのコントロールをして最期を迎えるという場所です。

でも、その方はその病棟への異動は拒まれました。

一度だけ聞いたことがあります。「どうしてそこまでして治療を受けるんですか?」と。

「まだしたいことたくさんあるから闘う。そこに行くのは負けること」そうおっしゃいました。

生きる意味、病気と闘う意味。

いろいろと考えさせられました。

もし私なら?

私なら…余命がわずかなら延命はせずに家族と時を過ごしたいです。たぶん私はそこまで闘えないと思います。

毎日が平凡に過ぎていくこと。

このことがいかに幸せではかないものということを身に沁みて感じました。

本当に長い闘い、お疲れ様でした。

「負け」たんじゃないよ。

よくきつい治療と向き合って最後まで闘って本当にお疲れ様でした。

もう無理しなくてもいいからね。

天国で見守っていてください。

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