器具の滅菌について
当院のコラムの検索でよく入ってこられるワードで多いのが「ディスオーパ」「ステイティム」「器具の滅菌」。
「ディスオーパ」は前の記事にも書きましたが、熱をかけられない器具の滅菌をするための薬液。「ステイティム」は熱をかけて滅菌する器械のことです。
医療従事者の方ならご存知だと思いますが、「滅菌」とは「菌」をすべて死滅させた状態のことを指します。
当院の器具は「すべて滅菌済み」を使用しています。それはタービン・バー(口の中を削る器械)から3WAYシリンジ(空気や水をかける器械)、外科器具、プラスティック器具、小さい器具まで口の中に入るものはすべてひとりひとりの患者様ごとに滅菌したものに交換していますし、極力紙コップ・紙トレー・紙エプロンなど「ディスポ(一回使い捨て)」のものを使用するようにしています。もちろん、手袋も患者様一人で使い捨て。
コストや手間はとてもかかります。でもこれだけはどうしても私の譲れないところ。
1回づつ滅菌なのでタービンや3WAYシリンジなどかなりの数を購入したので「ここまでしなくてもいいんじゃないですか」と開業当初に歯科材料店の方に正直呆れられたんですが、ココは当院の差別化。「滅菌」や「清潔不潔のゾーニング」は徹底しています。
歯科ははっきり言って唾液・血液に触れるので「不潔」です。でも歯科は残念ながら医科ほど「清潔・不潔」の概念がきちんとしていないのでアルコール綿で拭いただけの器具を使いまわしているのが現状。ひどいところはアルコール綿ですら拭かずに使いまわしの所も多いです。手袋なんて朝から晩まで1枚で使いっぱなしがほとんど。
気持ち悪いじゃないですか。誰が使ったか分からない器具が自分の口に入るのって。ですので、当院では「自分が使っても気持ちが悪くないように」をモットーに器具はオール滅菌です。特に当院は外科ですので出血するケースが多いので神経質に滅菌対策は行ってます。
開業して3年間、頑なに滅菌にこだわってやってると「あそこは器具が清潔だから」と自然と口コミで噂が広まって、当院では医療従事者(医師・看護師)の方の受診がとても多いです。医療従事者の方が来て下さるのは同じ医療人としてありがたいことです。
前置きが長くなりましたが、「ステイティム」の検索が多いのでちょっと触れておきます。
「ステイティム」は主に医科の病院の手術室等に置いてある高速高圧蒸気滅菌機です。オペ中に急いで滅菌しないといけないものが出たときに使用したりします。当院は「ステイティム5000」を使っています。通常の高圧蒸気滅菌機(オートクレーブ)もあるのですが、滅菌時間が長いのであまり使いません。「ステイティム」は9分で滅菌が上がるのでとても便利です。
以前、勤務していた開業医の先生が同じく滅菌にこだわる方だったのでそこにも「ステイティム」があったのですが一回り小さい「ステイティム2000」だったのであまり器具が入らなかったんですよ。なので当院で開業するときは思い切って大きいものを購入しました。和歌山県の歯科医院では「ステイティム5000」完備は当院だけです。
この、「ステイティム」。日本では販売していないので海外からの代行輸入です。お値段は…正直とても高いです。開業前に「ステイティムを買います」と会計士さんに見積もりを見せると「これ、本当に買うんですか?」と難色を示されるほど高いです(苦笑)
いくらかってですか…?あまり大きな声では言えませんが「ステイティム5000」で「80万円強」です。オートクレーブが大体高いので20万円くらいなのでどれくらい高価なものかお分かりいただけるかと思います。しかも毎日フル稼働なのでよく故障するので修理代がバカになりません(苦笑)
当院は消毒コーナー(器具を洗う場所)は患者様から見えないように設計していますが、消毒コーナーにはこの「ステイティム」と「オートクレーブ」をはじめ、結構最新の滅菌器具や消毒関連の器械、ステイティムに使用する蒸留水作製器などいろいろ置いてあるので当院で一番実はお金がかかっている場所は見えない消毒コーナーです。開業時に会計士さんに嫌味を相当言われましたが車が一台買えるくらいこだわりました。
やっぱり「口腔外科」を標榜するからにはきちん感染予防対策としないといけないですからね。開業してからも色々「清潔・滅菌対策」は工夫して進化していってます。
患者様に快適でかつ安全な医療を提供するのが当院のコンセプトです。
「ステイティム」の検索が多かったのでまとめてみました。ご参考までに。