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2010年7月11日 (日)

患者様の涙

私は火曜の午後診察で初診の方の問診やカウンセリングを担当しているんですが、できるだけ初診の方の最初の際は傾聴できるように時間を長めにとってお話を伺うようにしています。極力「聞き手」に徹します。

ただでさえ、医療機関に来て緊張されていらっしゃるでしょうから出来るだけ緊張を解してあげるのが私の役割だと思っています。

なぜそう思うかと言うと、私自身が「難病持ち」だから。

難病の診断がつくまでいろんな医療機関に受診してその際にいろいろと不愉快な思いをしたので、当院に受診してくれた患者様にはあまりそのような不愉快な思いをしてもらいたくないという私の配慮です。きちんとできているかどうかはわかりませんが、私なりにできるだけ患者様の気持ちに即してあげたいと努力はしています。

私も「白衣側」の人間なので分かるのですが、「白衣」を着ているとどうしても「上から目線」になりがちです。「白衣側」からすると毎日診察している日常的な疾患でも、患者様からすると非日常な症状なわけです。そこに「医療サイド」と「患者様サイド」の温度差がでてしまう原因なのですが…。

当院は「口腔外科」という特殊な科という性質上、かなりいろいろな歯科医院を巡り歩いた上でたどり着いたという患者様が多いのが特徴です。みなさん、かなり悩みを抱えていらっしゃるようでカウンセリングルームでお話を聴いていてもここまでの辛さがよく分かります。医療サイドに「聞いてもらえる」だけでも患者様は安心されるものです。これは同じく病気を持ったものでないと分からない心理です。

先日、私が担当した初診の患者様でカウンセリングをしていたときに「本当に不安で毎日胸が詰まりそうだった」と泣いて訴えられた方がいらっしゃいました。

まずは思っていることを吐き出させてあげることが治療の一歩と思い、時間をとってお話に耳を傾けました。

「辛かったですね。お気持ちお察しいたします。まずは基礎治療をしっかり受けましょう。不安なことは全部話してくださいね」と肩をさすってあげてなんとか泣き止まれました。

「患者」という立場は弱いです。それは本当に私自身もそうなので痛いほど分かります。医療サイドに訴えてもなかなか自分の病状の辛さが伝わらないもどかしさや辛さも自分自身が身に沁みてよく分かっています。だからこそ、私に出来ることはないかと考えた上で、当院では「カウンセリング外来」というものを作って私が担当しています。

やはり患者様も男性である主人に話すより、私の方が話しやすいようです。うちの主人はのんびりしてますし童顔でコワモテではないのですが「男性医師」というだけで萎縮してしまう患者様が多いようです。ですので、初診の患者様は可能であれば極力私がいる火曜午後にご予約を頂くように受付で采配してもらうようにしています。

患者様が泣かれることは開業してからたびたびありました。そのたびに医療サイドの患者様への「心の配慮」について考えさせられます。私が大病をしたから余計にそう感じるのでしょうか。病気をして復帰してから特に患者様のカウンセリング時に感極まって泣かれる方が多くなったように思います。

まだ若輩な私に患者様の「涙」を受け止められるだけの器はないかもしれませんが、できるだけ心の負担を軽くしてあげないといけないなと感じる毎日です。

少しでも患者様の心理を理解して気持ちを楽にして差し上げるために、今頑張って心理学の勉強をして資格をとってもっときちんとカウンセリングができるよう努力しています。

当院で少しでも患者様の辛さが軽減できればと主人・スタッフ共に日々診療に努めています。

ご不安なことがありましたら、私は火曜午後しかおりませんので、私だけでなく主人にもお気軽にご相談くださいね。

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