勉強と臨床経験の積み重ねは大事!
主人も私も一応10年以上臨床をしているので、まぁ「中堅どころ」の部類に入るのでしょうか。ある程度の症例をこなしてきたので「新人」ではないのは確かです。
「新人時代」や3年目くらいの時は、なぜか妙なプライドがあって分からないことでも患者様の前で「分かった風」を装ってしまいがちになりますが、10年選手になってくると「あ、ちょっとまってね~。それ分からないから調べるわ」と堂々と患者様の前で専門書を開いてみたり、医療従事者専門の医学情報ネットにログインしてその場でチャチャっと調べたりする芸当なんかが出来てしまいます(苦笑)←私たちだけでなく医科のベテラン先生も外来診察のときにこんな方が多いです。
ツラの皮が厚くなってくるというか、経験を重ねてくると「分からんもんは分からん」と患者様にホントのことを言えるだけの余裕がそれなりに生まれてくるんでしょうね。だって、分からないことを無責任に伝えるほうが怖いということを経験上分かっているので、それなら調べて正確な情報をお伝えしたほうがいいかなと思うようになるわけです。臨床経験が長くなると「自分の専門以外」は慎重になるものです。
そんなわけで、まさご家にも「分からん時の虎の巻」が何冊かあります(笑)
当院は口腔外科なので、全身疾患をお持ちの方が来院されるケースが多々あります。メジャーなところの疾患の知識はある程度あるのですが、珍しい疾患の方の場合は調べることが多いですね。あとは救急処置など日々進化しますからその類の書籍などはよく購入して勉強するようにしています。
その中で面白くてシリーズで購入しているのが、以前こちらでもご紹介した「ねじ子のヒミツ手技」。医師でもありイラストレーターでもある「ねじ子先生」監修・執筆による「臨床のコツ」です。
このたび新刊「2nd Lesson」が出たので購入しました。今回は救命救急編です。
主人は以前「救急部」にもいたので「あるある!」と読んでました。救命救急の難しいことから、基礎的なこと(急変時のバイタルのとり方)など新人からベテランまで楽しめる内容になってます。ねじ子先生の毒舌でウイットに富んだ文章も1冊目同様、健在です(笑)たぶん、ねじ子先生は私と同い年だと思います。
臨床現場ではいつ何が起こるかわからないですからね。勉強はとても大事です、はい。
かくいう私も新人時代に今思うとこわーい失敗を起こしていて、それに懲りてます。
当時はまだ臨床経験も浅く基礎疾患に対する知識もほとんど無い状態。患者様の口の中を触る際も問診などに目を通さずにスケーリング(器械を使った簡単な歯石除去)などを指示されるまま施術したりしてました。歯周病が進んでいる方は簡単なスケーリングでもかなり出血される場合があります。特に糖尿病や肝臓病をお持ちの方や、血小板が少ない方、ワーファリンなどの特定薬剤をお飲みの方などは出血傾向があり、「たかが歯石除去」でも出血を伴う場合があるので細心の注意が必要です。(「出血」はコワイんです!)
新人時代、スケーリングをしていると歯肉からサラサラした出血が…。気にせずに続けていると口の中が血の海!あわててガーゼなどで圧迫止血をしても止らない。ドクターを呼んで手を代わってもらいましたが止血がなかなかできない…。当時勤務していたのは一般歯科だったので今のように点滴などの救急薬剤をそろえてなかったので近くの口腔外科に搬送になり口腔外科医の先生に止血してもらうという大失態をやらかしてしまいました。
そう、この患者様は「重度の糖尿病」だったんです。
きちんと問診を確認しなかった私がバカ。患者様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ない気持ちでいっぱいでした。それ以降、必ず患者様に触るときは問診を確認するクセがつきました。
先日、テレビを見ていたら「無資格の歯科助手にスケーリングや麻酔や抜歯(!)などの歯科医療行為をさせていた歯科医師が逮捕された」というニュースがありました。(実際、大きな声ではいえませんが現場では無資格の歯科助手の方がスケーリングをしているのは日常茶飯事だったりします。ほんとコワイ。医療事故ったらどうするの?という感じですが…。当院では白衣を着た医療資格のあるスタッフしか口腔内を触らないのでご安心ください。基礎疾患の方が多い当院では怖くて無資格のスタッフには口腔内を触らせません。そのかわり、絶対、忙しくても歯科助手には口腔内を触らせないので診察が押してしまいお待たせしてしまうので申し訳ないのですが…。でもこれだけは私たち夫婦の「譲れないところ」なので絶対に資格のないスタッフには口腔内は触らせません)
基礎疾患のある方の治療は特に慎重に、が原則!
施術中の出血は本当に本当にコワイです!!!
先日も、当院に受診された患者様で主訴が「歯肉から出血する」という方がご来院されました。問診をとるとご本人は「最近、内科に行ってないし別に身体に異常は感じないよ」とのこと。問診表を見ても基礎疾患を記入してもらう欄は「特に問題なし」にチェックあり。
で、実際に口腔内をみると重度の歯周病。施術を始めると…経験上「いやぁな血の出方」をするんですね。
再度、患者様に「糖尿病とか持病は本当にありませんか?」と聞いてみるも「わからんわ」と。一応、その方の診療後の帰り際に「ちょっと嫌な血の出方をしているので、歯周病からではなく何か身体のご病気が原因かもしれませんので内科で一度血液検査をしてもらったほうがいいかもしれませんね」とお伝えしました。
「えー。健康がとりえなのにそんなことないってば」と患者様には言われましたが、次の診察のときにその患者様は内科に検診をかねて血液検査に行かれたようで「検診に行ってよかったよ~。糖尿は無かったけどお酒の飲みすぎで肝臓をやられてて今度精密検査になった。内科に行けって言われてなかったらもっと悪くなってたから本当に助かった、ありがとう」と言われました。
よかった~。一安心です。糖尿の方はもちろん、肝臓を悪くされている方は血が止りにくかったりするんです。出血がコワイというのはそういう事です。実際に「嫌な血の出方」ってあるんですよ。
これも基礎疾患の知識がなかったり臨床経験がまだ1年目や2年目で浅かったら「歯周病がひどくて血が出てるだけ」となってしまいますからね。知らずに処置をしていたら…また怖い思いをするところでした。
主人共々、日々、勉強と臨床経験の積み重ねは大切だなぁと再実感した症例でした。
医療事故のないよう、これからも夫婦揃って勉強していきたいと思ってます。
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