« hotel de yoshiko@秋のメニュー | トップページ | 今週のコーディネート »

2010年10月31日 (日)

抗がん剤治療による口内炎の疼痛緩和について

抗がん剤の治療(医療用語では「ケモ」と言います)を受けると、3割~4割くらいの割合で口内炎が発生するといわれています。

特に白血病などで骨髄移植や造血幹細胞移植等のために大量の抗がん剤投与を受けている方にはほぼ頻発します。また、頭部などに大量の放射線治療(医療用語で「ラジ」と言います)を受けた方にも口内炎が頻発します。

私も大学病院時代にクリーンルームで大量抗がん剤投与の患者様の口腔内管理を行っていたのですが…かなり重度の口内炎で苦しまれている方が非常に多かったです。

なぜ抗がん剤治療を行うと口内炎が出来やすいかというと、いろいろ定義は難しいのですが、少し要約して書くと口の中の粘膜にフリーラジカル(活性酵素)が発生します。このフリーラジカルは「抗がん剤が効いている」という抗腫瘍効果として発現しますが、口の中の粘膜を刺激するという副作用を持っています。

だいたい抗がん剤投与後の3日目から口の粘膜が赤く腫れてきて、4~7日目で口腔粘膜や舌に潰瘍(いわゆる口内炎)が発生するケースが多かったように思います。口内炎ができてしまうと1週間ほどなかなか治りません。

私がクリーンルームを担当しているときは、大量抗がん剤をいく前の段階で患者様にはむし歯治療や歯周病治療、歯石除去からPMTCなどすべて外来で行った後に、病室にて口腔ケア実践を行い「すごく口内炎が出来るからとにかく口の中を清潔にして。口内炎のところからバイキンが入って感染しやすくなるから」と徹底的にブラッシング指導を行っていました。大量抗がん剤投与日、3日後、5日後、1週間後と口の中のチェックを行い、とにかく潰瘍部からの感染を防ぐためにコチラ側で抗菌剤などを使って口の中の消毒を行っていました。

Imgp2805

クリーンルーム担当チームのナースの方と色々と「クライオテラピー」(抗がん剤投与中に氷を口の中に入れて口の中の血流を少なくして抗がん剤の影響を少なくしようとする試み)などもしてみましたが、ある程度は効果があるのですが劇的に効くというわけでもありません。

では、出来てしまった口内炎に対してはどう対処したらいいでしょうか?

ということで、いろいろ当時悩んでいたんですが、灯台下暗しで口腔外科に「口腔外科カクテル(略して口外カクテル)」というものがあったんですね。

多発性口内炎に対する消炎鎮痛剤です。ある薬剤を混合配合して作ります。その処方を血液内科のドクターとナースに伝えて実際にクリーンルームで多発性口内炎の方に使用してもらったところ、疼痛緩和に効果があったとのこと。以後、抗がん剤で口内炎が出来た方には処方してもらうようになりました。

…このように大きな病院でドクター・ナース・他職種がチームを組んで患者様のQOL(生活の質の向上)向上に向き合えればいいんですが、一般病院ではスタッフ不足からそこまで手が回らないのが実情。

当院でも外来で抗がん剤治療を受けられている方で、大量に口内炎が発生して「痛くてご飯が食べられない。つらいから何とかして」とご来院される方も多いです。

外来抗がん剤治療で多発性口内炎が出来た方は、当院にて「口腔外科カクテル」を処方しております。食前に使用するとずいぶん楽に食事が摂取できるようになります。初めてお使いの方には濃度を低くしていますので、効きにくいようなら徐々に濃度を上げていきます。

先日も外来抗がん剤で口内炎が出来た患者様がご来院になり、こちらを処方したところかなり楽になられたとのこと。

口内炎のつらさはなかなか理解してもらいにくいのが現状です。ひとりで我慢せずに、どうぞ一度当院までご相談下さい。主人も私も口内炎に関しては専門なので詳しいのでご安心して受診下さい。

« hotel de yoshiko@秋のメニュー | トップページ | 今週のコーディネート »

とりあえず診療日記」カテゴリの記事

当院ホームページ