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2011年1月 9日 (日)

難病指定-病気になって思うこと-

「なんか身体がだるいな…」

毎日37度台の微熱が続き、体重がダイエットもしていないのにどんどん減っていく。ひどい肩こり、右腕の痺れ、食べ物が飲み込めない嚥下困難、急な胸痛、髪がバサバサ抜ける、ちょっとぶつけただけで出来る青あざ、口腔粘膜のひどい浮腫…。

「知らない土地での開業だし、疲れが溜まってるだけ」

最初はそんな風にしか思ってませんでした。自分の体を誤魔化して無理に無理を続けて倒れるまでに時間はかかりませんでした。

朝、目が覚めると身体が鉛のように重く自分の体重を支えきれずに起き上がれない。這うようにして総合病院の内科に受診すると即入院。

診断名は「全身性エリテマトーデス」。略してSLE。

治療法のない国の特定疾患の難病です。現在、国の指定している難病は約130疾患。そのうち特定疾患に指定されているのはわずか56疾患しかありません。SLEはそのうちのひとつ。

SLEを簡単に説明すると、身体の中の免疫が「自分の体」を敵とみなして、自分自身の身体を自分自身で攻撃してしまうために全身に多彩な症状がでる病気です。治療法は見つかっておらず、対処療法として強力な抗炎症剤で副作用も強い「ステロイド」で身体の炎症を抑えこみます。

私は大学病院に勤務していたときに血液免疫内科の病棟におりましたので、免疫疾患について多少の知識はありました。SLEの診断を受けたときに「まさか自分が」という気持ちと当時病棟で担当していた同じ病気の患者さんたちの顔が浮かびました。

少し当っただけで青あざが頻回にできるようになってから何となくヘンじゃないかなという気持ちはありました。主人もあまりにも私がひどく青あざが出来るので「一度内科の先生に抗核抗体とか調べてもらったら?」と言われて近所の開業医の内科で抗核抗体を調べてもらったら異常数値でした。開業医の先生は「抗核抗体が高いことはよくあるから」ということでその日は血液検査をもらって帰っただけだったのですが、翌日に倒れました。

その日から私の闘病生活が始まりです。

SLEは診断基準が11項目あります。そのうち4項目が該当すると「SLE」と認定されるのですが、身体的症状が強く出ている方でも医師の判断でその11項目に該当しなければ「SLE」として認定されません。

「SLE」と認定されると国からの難病指定を受けて治療代・薬代が「公費負担」になります。負担額は収入によって違いますが、公費受給者証は治療代・薬代ともに無料の人が「ピンク」、一部治療費負担の人は「緑」です。「公費負担」かそうでないかでは患者さんの金銭的負担はかなり違ってきます。私の場合は薬代だけが公費負担なのですが、薬だけでも毎月明細を診ると3割負担で3万円ほどかかっているので公費負担は本当にありがたいことです。同じ症状でも少し検査の数値が違うだけで別の膠原病と診断が出た場合は処方される薬もほぼ同じなのに難病指定ではないので保険治療費が本人負担になります。この差は非常に大きいです。

このSLEという病気は、急性症状の場合は診断がつきやすいのですが、急性症状が出ていないときは「ただの過労」のような症状が続くので気がつくと悪化している…というケースが多いようです。書く言う私も今から思うと診断がついたのが2年前ですが、20代前半の頃から諸症状がよく出ていたので発症はかなり前だったと思われます。

この病気の診断がついてから「SLE」の方のブログを探して読む機会が多くなりました。同じ病気を分かち合っている人が書かれる文章は参考になりますし、心強いものです。SLEはどうしても症状がはっきりしないので、はたから見ると「あの人元気そうなのに」「なんかサボってるんじゃないの」と思われがちです。実際に見た目は健常者とかわりがありません。体調がいい日は「自分は病気じゃないんじゃないの?」と思う時もありますが、調子が悪い日は本当にベットから起き上がれないくらい身体がだるくなります。目をあけるのもしんどいくらいのだるさです。

SLEという病気自体がかなりレアな病気なので(発症率が6万人に1人と言われてます)世間的にあまり知られていない疾患ですが、「こういった病気もある」と理解して頂くためにあえてここは歯科医院のコラムではありますが、患者でもあり医療従事者でもある私が語るSLEについての記載をしています。少しでも疾患について一般の方にも知って頂いて理解してもらえたら幸いです。

SLEの闘病生活について、いろんな方がブログをされています。また書籍も出されています。有名な方では宝塚歌劇の安奈淳さんが同じくSLEで手記を何冊か出されています。

やはり無理がたたって「過労かな」と思う症状を放置し倒れたんだそうです。私はあまり宝塚は詳しくないのですが、娘役で有名な方だったんですね。両方読みましたが、有名女優さんがステロイドの副作用でムーンフェイス(顔がかなり大きくなる)で苦しんでいる様子など記載があります。女性としてやはり顔が変わってしまうという副作用はつらいものです。職業が職業だけに私以上にお辛かったのではないかとお察しします。

あと、おそらくブログをもとに最近出版されたと思われるのがコチラの本。

この方のブログは以前から知ってました。SLEの世界では結構有名な方です。ブログにステロイド投与前からステロイド投与後のムーンフェイスの変容についてご自身の顔写真を公開していらっしゃいます。これは非常に勇気のいることです。

私もそうなのですが、ステロイド投与前までは痩せ型で身長165センチで体重が40キロ前後でしたが、ステロイド投与後から普通に生活をしているだけで体重が10キロも増えました。顔もムーンフェイスでパツパツ。写真を見ると別人です(苦笑)主治医は「ステロイドが減量すると戻ってくるっていうけど、ホント?」と不安になるくらいに顔が変わります。私も職場復帰して久々に会う自分の受持患者様に「ふっくらされましたね」「退院して元気になられて肥えましたか?」などなど会う方会う方に言われました。

この本の著者のあげはさんも書かれてるんですが「病気で…」と説明するのが面倒になってきて私も「そうなんです、太っちゃって」と受け答えするようになりました。何気ないそういった言葉って結構ツライんですよね。今は受け流せるようになりましたが、最初はあまりの顔の変わりようや太り方に傷ついたものです。まぁ、みなさんに指摘されるくらいに副作用で見た目が審美的に大きく変わるんです。私がMAXステロイドを行っているときは、今写真を見るとあげはさんの言葉を借りれば「イクミ・デラックス」(あげはさんは「マツコ・デラックス」になぞって「あげは・デラックス」と書かれてました)になってました。

症状など(肩甲骨の内側から激しく痛む肩こり等)詳しく記載されているので、読まれると「こんな症状、あるある」と納得できます。文字が大きいのですぐ読めますので、あげはさんの本は初めてSLE関連の書籍を読まれる方にはいいかと思います。ただ、内容的には本よりブログの方がSLE関連の記載が多いので先にブログを読まれた方がいいかも(あげはさんのムーンフェイスの変貌の写真は書籍には載ってません)

本は出されてませんが、私が一番SLEのブログで共感できたのが「バタフライフィッシュ」というブログ(リンクしませんので検索してみてください)。この方のSLEの症状や検査などの記述は的確で文章もウイットに富んでいて読んでいて面白いですし参考になります。

なぜSLEの方達がこぞって「あげは」や「バタフライ」など蝶々をタイトルにつけているかというのは、SLEの症状のひとつに「蝶形紅斑」といって顔の頬を中心にに赤い蝶々がとまっている様な赤みを帯びる特徴があるのでそれをみなさんもじってるんですね。

もう少し専門的にSLEを知りたいという方はコチラの本がオススメ。いろいろ膠原病の専門書は出ていますが医療知識がないと分かりづらかったり、内容が逆に薄すぎたりする場合があるのですがこの本は専門的過ぎず、素人向けすぎずで私的には一番参考になった一冊です。

特に面白い記載があったのが「膠原病・リウマチは治る」の中にある「知り合いに勧められて『免疫力を上げる』という健康食品で膠原病が治るといわれて飲み続けていたものが、実は病気を悪化させるものだった」というくだり。

私も膠原病になってから妙な健康食品やサプリを勧められることが多いのですが、私たち免疫疾患患者は薬をコントロールされているので医師からの処方以外の薬は飲めないんですよ。しかも免疫力を上げちゃうとただでさえ免疫過剰なのに余計に良くないんです。なので勧められても飲まないようにしてくださいね。

SLE関連の書籍は専門書から素人さんが書かれたものまですべて目を通しました。実を言うと私がこのコラムでSLEの記事をちょくちょく書いているので某出版社から執筆依頼があったんですが、まだ病気が寛解までいっていないのでお断りしました。ある程度病気のめどがついたら、世の中に少しでも「見た目は健常者みたいに見えても実は難病で闘病している」という病気があるということを知って頂くためにお受けしたいと思います。

コチラのコラムはSLEで検索で入ってこられる方が多いです。同じ病気を持つ身として、そして一応医療関係者として、今後もう少し体調が良くなれば私ができることを少しでもお手伝いが出来ればと思っています。

病気をして初めて見えたこと、病気をして初めて気がついたこと、病気のお陰で出来た人の輪。生きていることのありがたさを学びました。病気をしなかったら気がつかなかったこともたくさんあります。

一生治らない病気なので、病気とうまく付き合いながら生きていきたいと思います。そして病気になったことで「気づき」というチャンスや自分の人生を立ち止まって見るということを教えてくださった日本IBMの間宮隆彦さんに感謝です。

今はこの病気を受け入れるだけの心の余裕が生まれてきました。同じ病気で悩んでらっしゃる方、無理せず・無茶せず・あきらめずです。

お互いぼちぼちいきましょう。

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