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2011年1月 8日 (土)

ステロイドとお口の中の関係について

このコラムはSLEで検索される方が多いです。

最近、特にSLE関係で検索で入ってこられる方が多いのと、ステロイドと口の関係について検索で入ってこられる方が多いので「ステロイドと口腔について」少し私見を記載しておきたいと思います。

あくまでも一応歯科関係者として臨床的にみた事と、実際に自分がSLEを罹患してステロイドを服用中の立場として実際に体験している事を記載します。

当院は私が免疫疾患ということもあり患者様でも膠原病の方が多いので症例はかなりみてきました。論文や科学的な裏づけはありませんが、少しでも同じ病気で同じ症状で不安な方のご参考になれば幸いです。

■ステロイドを飲むと歯がしみる。

これは歯科・医科の教科書や専門書には記載がない副作用ですが、れっきとしてステロイドは知覚過敏を引き起こします(私が体験しています)。なぜ知覚過敏を引き起こすかは科学的に立証をされていませんがステロイドは骨を吸収する副作用があります。(私の個人的な考えでは)歯科領域の場合、ステロイドを服用すると歯槽骨という顎の骨が結構なスピードで吸収します。歯を支えている歯槽骨が吸収するので、本来、顎骨の中に埋まっているはずの歯の根の部分が口の中に露出してきます。よくみると歯が長くなったように見えますので実際にご自身で鏡で歯を確認してみてください。一番分かりやすいのは下顎の前歯です。歯の根の部分は非常に敏感な場所なので、この部分が露出してしまうと冷たいものやハブラシの毛先などの刺激がダイレクトに歯に伝わってしまうので「知覚過敏」が起こります。

残念ながら、これは一般歯科の先生方は知らない副作用です。(というかステロイドの副作用をあまり知らない先生が歯科には多いのが現状)ですので、「ステロイドを飲んで歯がしみるんです」と歯科に受診しても「磨きすぎ」といわれてしまう可能性が非常に高いです。

治療法としては、ステロイドが減量して骨の吸収が止るのを待つしかありません。対処療法として歯科では「グルーマ」といわれる知覚過敏の塗布薬があるのでそれを塗ってもらうとよいでしょう。保険適応で対処してもらえます。歯もいつまでも「痛い」刺激にさらされていると「2次象牙質」というのが形成されて刺激がダイレクトに歯の神経にいかないように自己防衛をするのでちょっと痛みがマシにはなることがあるかと思います。

また、ご自宅で対処療法をされる場合は「シュミテクト」を使うといいかと思います。即効性はないですが「硝酸カリウム」という成分が歯の象牙細管を通って歯の神経をカバーしてしみるのを防ぎます。ヘンな味ですが、臨床試験の結果は2週間使用で40%、1ヶ月使用で80%前後の知覚過敏抑制効果が報告されているので気長に使ってみてください。

■口内炎ができる、舌が腫れる…

SLEの症状の中に「口腔粘膜の無痛性の潰瘍」というものがあります。これは免疫内科の先生の言うところの「口腔粘膜の潰瘍」と歯科領域でいうところの「口腔粘膜の潰瘍」は実は違うんですね…。免疫内科の先生の言う「口腔内潰瘍」は歯科領域で言う「口腔内の浮腫(むくみ)や粘膜の爛れ」をさします。ですので内科と歯科ではニュアンスが違うので注意してください。統一してもらえるともっと診断に役立つと思うんですけどね…。

SLEの場合、歯科的に見ると舌や頬の粘膜がむくんで腫れあがります。むくみで腫れあがるので歯に粘膜が食い込んでしまい歯型ができてそれが白い潰瘍のようになります。むくみが軽いときは痛みはないのですが、むくみが強く出た場合は歯に粘膜が擦れてしまい切れるので痛みを伴うことがあります。これがなかなか治りにくいので痛いんですよね。私も少し疲れたりするとよく舌がむくんで歯で舌を切ってしまうことがあるんですが、ステロイドを服用していると傷の治りが悪くなるのでなかなか治らず痛いです。あと、上顎の粘膜が爛れたようになったりするのもSLEの方の特徴です。

ステロイドを服用すると「易感染性」といって菌に対する防御作用が低下しているのでよく「口腔カンジタ」が発生します。この「口腔カンジタ」が一見すると口内炎や粘膜の爛れに見えるので診断が難しいところです。口腔カンジタは綿棒で採取して検査に出せばすぐ診断がつくので、それが否定されたらSLEの悪化による口内炎やその他の粘膜疾患が疑われます。もしステロイドを服用されていて口の中に口内炎が多発したり、爛れたり、白いものが出来ていれば歯科ではなく口腔外科を受診してください。

ステロイドを飲まれていない若い女性の場合、粘膜症状が出て口が渇くという方は要注意。膠原病疑いがあります。(中高年の女性の方は更年期障害かもしれません)当院受診の方でこのような粘膜症状があり口が渇く若い女性の方に内科に免疫疾患の血液検査の受診をすすめたところ、膠原病が見つかった方が数名いらっしゃいます。

■歯周病が悪化しやすい、歯周病が悪化すると病気も悪化しやすい…らしい

最近の文献で読んだのですが、リウマチの方が歯周病が悪化すると血液検査の結果が悪くなるんだそうです。歯周病も感染症の一種ですから、ステロイドを服用していると「易感染性」の影響で歯周病の悪化速度も通常の方より早いように見受けられます(統計やデータはとっていませんが私が診た感じでは、です)ですので、口腔内の清掃はこまめに行ったほうがよいでしょう。ステロイドの副作用でもある「糖尿病」も歯周病と関連があるので(糖尿病が悪化すると歯周病が悪化して、歯周病が悪化すると糖尿病も悪化します)とにかく口は清潔に保つに越したことはありません。

■むし歯が再発しやすい…ような気がする

これもはっきりと言及することは出来ないんですが、ステロイドを飲まれている方はむし歯の再発率が高いような気がします。唾液の分泌量も減りますから、口の中の自浄作用が低下しやすくなりますのでそれも一因だと思われます。むし歯も菌の一種ですから、「易感染性」でむし歯菌が活性化されて再発しやすくなるみたいです。これは私が実体験しています。職業柄、むし歯の治療はほぼ完璧に治していたのですが、ステロイドを飲むようになって1年してから急にむし歯の再発が多数出てきました。ありえない速度でむし歯が悪化します。ステロイドの治療を始める前にきちんと歯科治療を受けておいたほうが良いのと定期健診はこまめにうけましょう。

■ボナロンは服用していると歯が抜けません。外科処置ができません。

ステロイドの副作用である「骨の吸収」を押さえる薬「ボナロン」。こちらを飲んでいる方は顎骨をさわるような処置(いわゆる抜歯)をすると顎骨が腐ってしまうので禁忌です。ですのでステロイドを服用される前に必ず親知らずや抜かないといけない歯の抜歯は済ませておきましょう。もし、ボナロン服用中に抜歯が必要な場合は、内科の先生と連携しての治療になります。一応、歯科医師会がインフォメーションを出しているんですが、ボナロン内服中にどうしても抜歯が必要な場合はを3ヶ月内服を控えてもらったり…などなどあるのですが、どうなんでしょうか?どうしても外科処置が必要な場合は患者様にも危険をご説明して同意書を記入してもらっての処置となりますので結構大変です。ボナロンを飲まれている方で歯科治療を受けられる方は必ず問診表に記載してください。

思いつきで書いてみましたが、歯科・医科の教科書には載ってない副作用って実は多いんですよ。これは実際にステロイドを飲んでみた人でないとわからないものも多いです。ですので、はっきりとしたデータや統計をとったわけではないのですが、個人的にステロイドを内服されている方の口腔内をみていたり話を聞くと上記のような副作用が認められます。しかも自分でも自覚症状があるのでおそらくそういった副作用は存在すると思います。

今まで単発でこれらの記事を書いていたのですが、検索が多いので、とりあえあずひとつにまとめてみました。また思い出したらまとめてみたいと思います。

ただ、あくまでも論文やデータなどの裏づけは「しつこいようですがありません」ので参考程度にしてくださいね

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