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2011年5月 7日 (土)

ステロイドは医師の指示で!

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当院は私が膠原病持ちなのでHPにも「免疫疾患の方の診察承ります」と記載しているせいか、リウマチやその他膠原病の方が多く来院されています。

免疫疾患の特効薬(というか、これしか治療法がない)がステロイド。商品名「プレドニン」「プレゾロニン」。

非常に抗炎症作用の強い薬で副作用もその分強い薬です。当院でもよほどのことがない限り処方しない(口腔外科では点滴で使用します)きつい薬です。副作用のひとつに「易感染性」というのがあって、薬の内服量が多いといろんな菌に感染しやすくなります。病院や主治医の先生の考え方がまちまちなので一概には言えませんが、だいたいステロイドが1日20mg/day~30mg/dayに減量するまで入院加療が必要。経験者の私としてはやはり30mgくらいのときは入院中でもすぐに風邪をこじらしてました。

紀南地区は免疫疾患の患者様の多くは問診をすると「近畿大学」の免疫内科に受診に行っているようです。私は神戸の免疫内科に行ってますが特殊な病気はなかなか専門医がいないので地方は大変です。(紀南地区に一応リウマチ科というか免疫を標榜に挙げてある病院はあるんですが…田辺でのかかりつけ医の南和歌山医療センターの主治医に「自分は専門外で特殊な疾患なので自分自身の診断だけでは不安だから」とのことで頼まれてその某病院に「セカンドオピニオン」に行ったらそこの自称免疫専門の医師に血液検査の結果すら見ずに「ただの過労」と言われました。その後、神大免疫内科で「SLE」の確定診断が出たんですが。私と同じく免疫疾患をお持ちの方も同じような話を何例か聞きました)

こちらは地方ということで、免疫専門の先生がいないせいか膠原病の病名がついてステロイドを処方されている方は十分な薬の説明をうけていないのかステロイドの怖さをご存知でないケースが多くて心配になります。

当院受診中で一番びっくりしたのがステロイドが60mg/day処方されているのにもう何年も外来治療のままでステロイドの処方量もかわってないという患者様。

ステロイドは基本、炎症反応が下がると徐々に処方量を少なくして最終的には飲まない、もしくは再炎症を起こさない最低限の量(これを維持量といいます)を処方するにとどめます。でないと、副作用が非常に強いので骨粗しょう症や糖尿病を併発します。感染で死亡するケースもあります。それくらいさじ加減が難しい薬です。それを延々と何年も60mg/day(内服でMAXのステロイド量です)って…恐ろしくて施術できません。

あとは、ステロイドは徐々に減量しないと急に内服をやめるとショック症状を起こします。これを「ステロイド離脱症状」というのですが、ステロイドを長期服用していると副腎がステロイドホルモンを自分で作るのをサボってしまうので徐々に減らしていって副腎に「ステロイドが減ってきているから働いてね」と気づかせて自らホルモンを作るように仕向けていくのですが、これを急に内服をやめると副腎からホルモンが分泌されないのでショック状態を引き起こし最悪のケースでは死亡することすらあります。

ステロイドは副作用で顔がパンパンになったり(ムーンフェイスといいます)、肥満、汗をかきやすくなるなどなど身体的審美的副作用が多い薬なので女性は勝手に服用をやめてしまう方がいらっしゃいます。先日も「ステロイド太るから先生からもらってるけどやめちゃった」という患者様がいらっしゃったので「危ないので絶対に医師の指示に従って飲んでください」と厳重注意をさせてもらいました。

Imgp4613ステロイドは小さい薬なので「ほんとにコレ効くの」と思うかもしれませんが、実に怖い薬です。個人の勝手な判断で内服を中止するととても危険です。免疫専門の医師が血液検査の結果(補体などのデータ)をみてその人にあったステロイドをさじ加減しているので自己判断は絶対にしないでくださいね。

あと、免疫疾患の方には必ず「お薬手帳」もしくは「薬剤情報提供書」の持参をお願いしています。ステロイドといえば骨粗しょう症、骨粗しょう症といえば「ボナロン」。「ボナロン」は内服していると抜歯すると最悪のケースでは顎の骨が腐ることがありますので主治医と相談しなければいけません。受診の際は必ず薬の情報提供をお願いします。

一般歯科の先生はあまりステロイドについてご存知でない方もいらっしゃいますので、免疫疾患をお持ちの方は必ず「口腔外科」へ受診してください。歯科治療はストレスになりますので、歯科治療希望の方は一度免疫の主治医の先生に了解を得て紹介状を書いてもらうのがいいでしょう。状況によっては「今は歯科治療は無理」というケースもありますので。

ちなみに当院では免疫疾患や基礎疾患のある方は火曜午後の「有病者歯科外来」を設けておりますので、そちらにお電話でご予約のほどお願いいたします。ご予約の際に持病のある方はその旨受付スタッフにお申し付けください。初診時にカウンセリングを行います。

最近、特にステロイド内服中の初診患者様が多かったのでインフォメーションまで。

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