謎の8歳児来院(前編)
当院は口腔外科ですので、いろんな患者様がお見えになります。
基礎疾患がある方や、口周りのケガをした血まみれの方や、顎関節症、歯科心身症などの精神的な病をお持ちの方や、車椅子での介助が必要な方、外国人の方などなど。
普通の歯医者さんより特殊な患者様がお見えになります。
先日、当院向かいのバニラカフェさんの店長さんから「いくみさん、実は診ていただきたい患者さんがいるんですけどいいですか~」とお問い合わせが。
私:「いいですよ、どんな方ですか?」
バニラさん:「ちょっと、日本人の方ではないんですけど大丈夫ですか」
私:「大丈夫ですけど、英語ならカタコトくらいしかわかんないですよ」
バニラさん:「あ、英語圏の方ではないんです。私が通訳で入ります」
私:「そうですか、お願いします。で、どういった症状で?」
バニラさん:「なんか口が閉まらないらしいんですよ。あと虫歯があるって言われたみたいで。他の歯医者さんでは頼みにくくて…」
私:「いいですよ。お気になさらずに。失礼ですがおいくつの方ですか?」
バニラさん:「お子さんです。8歳だったと思います。よろしくお願いします」
ということで、14日(水)の最終診察でご予約を承りました。ちょうど主人の指導医の西松先生がお見えになる日です。
で、当日。
「こんにちは~。初めてですね。保険証はお持ちですか?え?お持ちでない。では自費診療になりますがよろしいでしょうか。でしたら、おかけになってこちらの問診票をご記入ください」と受付から声が聞こえてきます。バニラさんの声も聞こえてきたので、手が空いていたのでご紹介患者様ということもあり待合室にご挨拶に。
私、待合室のドアを開けて
「こんにちは~」
………!
なんだ、この人?
いやいや、患者様を差別してはいけません。というか「日本の方ではない」とは聞いてましたが、いったい何人?日本人という以前に人間には見えないんですが…。私の目が悪いんでしょうか?
たしか8歳児と聞いていたんですが、8歳には…見えません。
ある程度いろんな主訴の患者様への「免疫」はついてるんですが、国籍不明の人は初めてなので珍しくかなり動揺。
スタッフは何事もなかったかのように平然と問診票を受け取り「準備できたらお呼びします。おかけになってお待ちください」と話しかけてるではないですか。
恐るべし!
私:「真砂先生、私では手におえない患者様がお見えなんで診てもらってもいいですか」
主人:「ちょっと今、西松先生と○○さんの症例検討してるから、状況確認したら呼んでね」
と二人ともカウンセリングルームに籠っています。
『頭がデカイので通路が通れるのか?レントゲン室に入れるのか?』
へんな心配をしてしまうほど頭が大きくていらっしゃるので気を使います。
ええい、もうとりあえず診ようじゃないか。
ここでビビったら白衣を着た資格持ちとして失格です。勇気をもってカルテを手にお呼び出し。
「初診でお待ちのダルダル様、どうぞ入りください」
後編に続く…
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