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2013年2月17日 (日)

de novo B型肝炎

今年から、いつまで続くか分かりませんが、真面目記事を1本入れてます。

今回は「de novo B型肝炎」。

ご存知ですか?

実は私はこのde novo B型肝炎のフォロー中です。

自分が変わった病気に罹っていると勉強になりますね~。

免疫抑制剤や化学療法(ガンなどで抗がん剤治療をすることを「化学療法」と言います)によって再活するB型肝炎のことを「de novo B型肝炎」と言います。

de novo B型肝炎とは? 免疫抑制剤・化学療法によって発症するB型肝炎ガイドラインより抜粋

近年、化学療法、免疫療法、移植療法の進歩に伴い、多様な抗癌剤や免疫抑制剤を使用する機会が増加しています。血液悪性疾患に対する強力な免疫抑制・化学療法中あるいは終了後に、HBs抗原陽性あるいはHBs抗原陰性例の一部にHBV再活性化によりB型肝炎が発症し、その中には劇症化する症例があり、注意が必要です。その他の疾患においても治療によるHBV再活性化のリスクを考慮して対応する必要があります。

簡単に説明すると、免疫抑制をしたら大人しくしているB型肝炎ウイルスが起き始めて劇症化する恐れがありますよ、ということです。

医療の仕事をしていると、感染しやすいのが「肝炎ウイルス」。

かなり気を遣って予防をしないと感染してしまう恐れがあります。

私も20代前半に臨床現場でB型、C型肝炎に罹患してしまいました。

歯科は血液を扱う科なので非常に感染率が高いです。

当院では「スタッフは私のように感染して辛い思いをさせたくない」という気持ちから「清潔不潔は徹底して」行い感染リスクを出来るだけ下げています。普通の開業歯科医院ではやってないくらいに滅菌対策を行っているのはこの理由からです。

肝炎発症時に適切な治療を行ったので、膠原病SLE治療前は肝炎は「キャリア」といって「体内にウイルスは入ったけど悪さをしてない状態」でした。

現在SLEのためステロイドで免疫抑制を行っていますが、ステロイド投与3年目で肝炎の数値に変化が出てきました。

今は、免疫抑制中で肝炎の数値に異常があれば下記のようなフォローを行います。

Masago_7


字が小さいのでクリックすると大きくポップアップするように設定してます。

私はHBs抗原(-)HBs抗体(+)なので、HBV-DNA定量を月1回モニタリング中です。悪くなれば核酸アナログ投与となります。

普通は「抗原(ー)」で「抗体(+)」なんてことはありえないんですが、免疫抑制を行うとこういった「普段起こりえない事」が起こってしまいます。

体に対して無理に外部の力(免疫抑制剤や抗がん剤)で抑え込むと、どこかしらに歪が出てきてしまうということです。

最近、この「de novo B型肝炎」が多くなっているようで、クローズアップされているようです。

もし以前に抗がん剤治療をされていた方や、免疫抑制中の方は主治医に定期的な肝炎のフォローをしてもらった方がいいですよ。免疫抑制中だといろんなウイルスに罹りやすいので、もしかしたら知らず知らずに肝炎をもらってるかもしれません。

年に1回は肝炎のスクリーニングをして劇症化にならないよう気を付けましょう。

インフォメーションまで。

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