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2013年3月30日 (土)

危険!ステロイド飲み忘れ

私は膠原病のSLE(全身性エリテマトーデス)に罹患して、かれこれ治療薬のステロイドを飲み始めて早4年。

コチラがステロイドの薬、プレドニンです。通称「プレ」。
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私の場合、ステロイドは30mg/day(プレ1日6錠。その時私は体重が30キロ代だったので30mg/dayからスタートしました。症状にもよりますが初期で大量投与が必要な際は体重に比例して投与するそうです)から始まって10mg/dayに減ったところで再発、再治療で20mg/dayに増えてやっと減量して現在ステロイド維持量で7mg/dayです。もうこれ以上減らすのは無理とのことで、たぶん一生飲まないといけないんだろうなぁといった感じです。

このプレドニン、小さいくせに異様に苦い薬でして、飲み込むときに舌に引っ付いたりするとしばらく苦みが消えない曲者です。ほんと、いやがらせ的な苦さ。

プレドニンはステロイド5mg換算なので、1mg単位はプレゾロニンで調整します。プレゾロニンは苦くない良い子です。

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膠原病は「自己免疫疾患」といって「自分の体が自分の体を敵と思って攻撃してしまう」病気なので免疫を抑える治療をします。それに使うのが免疫抑制作用のある「ステロイド」ということになります。

ステロイドを飲んでいると免疫を抑えるので「免疫抑制中」といいます。自分の免疫を抑えるのと同時に外からのバイキンの免疫力も落ちるので病原菌に感染しやすい状況になります。

なのでステロイド内服のために入院となると(たいだい初期投与の場合20mg/day位から入院が多いみたい)感染症予防のため「病室監禁状態」になります。

とくにすることもなく、病室でちゃんと薬飲んで感染しないように寝てろ、というだけの入院…。しかも入院期間MAXの3か月とか(入院は保険の関係上3か月以上は点数が下がって経営的にダメなんで、目安として3か月以内で一回退院させられます)この軟禁が結構退屈で辛いんです。

これがステロイドパルス(急性症状で命に係わる場合に点滴でステロイドを直接投与すること。3日間点滴繋がれっぱなしで、点滴が終わったらステロイド内服のMAX量60mg/dayから始まり入院期間も3か月以上となりコレは本当に地獄)ならもう完全に半年は外に出れないコースですね。

私の場合、身内が主人だけなんで田辺市内で入院の時は毎日主人が仕事帰りに見舞いに来てくれるのでいいんですが、神戸で入院になると週末休みの日しか見舞いがありません(私は身内以外に見舞いに来てもらうのが苦手なので入院しても誰にも言いません)もう暇なことこの上ないです。

今だから時効で言いますが、神戸大学病院の免疫内科入院中に主人がお見舞いに来てくれた際にこっそり病室を抜け出して主人と神大前の「たろうラーメン」を食べに行きました(苦笑)

薄くてマズイ病院食を食べ続けていた私には「たろう」は超刺激的な味でした。この何とも言えない背徳感とスリル(笑)あの時に食べたラーメンの味は忘れられないですね~。

まあ、病棟抜け出しをしてラーメン屋からコソコソ帰る際に外来棟の廊下で主人の元部下(休日の当直で救急で呼び出しされていた)に発見されてしまい「真砂先生、なんでこんな所にいるんですか~」と話しかけられてしまい結局病室抜け出しがバレてしまったんですが(笑)

パジャマみたいな部屋着に入院時に付けさせられるリストバンド付でラーメン屋行ってたら「患者の抜けだし」で丸わかりですね(笑)主人の話では昔、主人の入院担当患者で無断抜けだしでパチンコ屋に行っていたという猛者がいたそうな。それに比べたらラーメンくらい可愛いモノ?

いやいや、良い子はマネしないでくださいね(苦笑)

話はずれましたが、ステロイド。

飲み忘れないようにと主治医には耳にタコが出来るほどひつこく言われます。飲み忘れると「ステロイド離脱症状」といって下記のようなことが起こります。

ステロイド剤を多量投与すると副腎皮質からのホルモン分泌機能が低
下します。また、長期投与すると徐々に副腎が萎縮することがあります。
そのため、ステロイド剤の急激な中止や減量は体内の副腎皮質ホルモ
ンを枯渇させ、強い倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下などのステロイド
離脱症候群と称される起させることがあります。さらに、もともと治療す
べきだった疾患を悪化(リバウンド)させることもあります。
このためステロイド剤の離脱に際しては、急激な中止・減量とせずに症
状を考慮しながら少量づつ段階的に減量するなどのこまやかな治療計
画が必要になります。(よくわかる膠原病より抜粋)

そんなわけで、雨の日も風の日も、来る日も来る日もステロイドなんですが、実は先日4年目にして初めてステロイドを飲み忘れてしまいました。

「まあ、5mgを1日忘れただけだし」と軽い気持ちでいたら、その日、急に強い倦怠感で起き上がれない、血圧が低すぎて立てない、顔が真っ赤(蝶型紅斑といってSLEの人は状態が悪い時は顔が真っ赤になる)、体中浮腫とエライことになってしまいました。

「ええ、私死ぬかも…」というくらい目の前が真っ暗。ねじまき人形の「ネジ」が切れるみたいに「あ、今プレが切れた」とわかるんです。

その日はたまたま休日で主人が在宅していたので急な私の異変に気付いて「もしかしてプレ飲み忘れたんとちゃう?」と薬を飲ませてくれて事なきを得ましたが、一人だったら…想像しただけで怖いです…。

飲んで2時間くらいで薬が効いて元通りになりましたが。

ホント、飲み忘れってコワイです。とくに免疫抑制関係の薬や抗がん剤は医師の処方をきちんと守って飲まないとしんどい思いをするのは自分です。

あんなちっさいオレンジの薬で私の体がコントロールされてると思うと、なんか不思議な感じですね。今後飲み忘れには気を付けたいと思います…。

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