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2013年3月 3日 (日)

ガンと告知

どこまで続くか、真面目記事のコーナーです。

今回は「ガンと告知」。

うちの医院は歯科よりも口腔外科のウエイトが大きいので、意外と多いんですよ。口腔ガンの初期発見。

しかもかなり進行しちゃっているガン…。いわゆるステージⅢとかⅣ(末期)とかの「これは…」と一瞬怯むくらいのバージンケースが多し。

大学病院なら、そのまま即入院検査~と行きますが、今は開業医。施設が整ってないので近隣の総合病院の口腔外科のある病院に迅速に紹介して行ってもらわないといけません。

ガン治療は本当に時間との勝負。

田辺の方は我慢強いのか、本当に「え?ここまでよく放置しておいて痛くなかった?」とかなり進行してからお見えになるので、舌や口腔粘膜に異常を感じたらまず受診してください!口腔ガンはタチが悪いものが多いです!早期発見早期治療で命が助かるものもありますので。

で、上記でも書いたように、田辺は「相当進行してしまっているガン疑い」の方が非常に多いので、主人も即病院に精査加療をしてもらうよう手続きをするのですが、田辺で開業して感じたことは、ガンで紹介状を書いても病院に行かない人が残念ながらいるんです…。

一連の苦い経験している主人。

田辺に引っ越してからのガン疑いの患者さんへのムンテラ(説明)が非常にシビアです。

大学時代は結構優しくムンテラしてたんですが、田辺の方はシビアに伝えないと患者さんは病院に行ってくれないので、開業してからの主人のムンテラはズバっと

「ガンです」

えええええ、言っちゃう?!!(私)

横でカルテにムンテラ記載して個室に同席している私がハラハラしてしまいます。

しかも畳み掛けるように「明日一番に病院口腔外科に初診予約を取りますので、必ず行ってください。命に係わりますから。ガンは1分1秒の時間との闘いなので、とにかく早く行ってください」とかなりシビアに告知します。

今は本人に「告知」がスタンダードですからね。

普段穏やかな主人がこんなに厳しくムンテラするくらい症状が進んでしまっているバージンケース発見(未治療)方、残念ながら本当に紀南地区、多いです…

普通は「悪性腫瘍(ガン)疑い」で検査をしてから告知が原則ですが、臨床が長いと検査をしなくても「これはもう99%間違いない」と分かるようになります。かなり慎重な主人が検査結果を見ないで告知をして受診を促さないと行ってもらえない現状…。結構大変です。「これが大学病院の初診で担当してたら、すぐ検査に回せる環境だったのに…大学はすごくいい環境だったって心から思う。今は開業医だから動けないからジレンマを感じる」と主人談。

そんなわけで、主人が告知をした後に紹介状を用意したり、病院口腔外科に「ガン疑いなので一番で予約入れてください」と地域医療連携室とやり取りをしたりというのが私の仕事なんですけど、いきなり告知をされた患者さんのフォローも私の仕事。

主人の告知がズバッとタイプなのでそれに合わせた対応をしないといけません。

非常にシビアな問題なので、非常にフォローが難しいです。

主人の告知後、泣き出す方、事態の大変さを全く理解してくれない方、放心状態の方…いろいろあります。

というわけで、開業してから心理関係の大学に編入して心理士の資格を取ったんですが…。やはり心理学の素人では対応は難しいと思います。

いろいろガン患者用の心のケアなどの書籍も出てます。私も大学で学んだ参考書を愛用しています。

私は大学で「ガン患者の心のケア」や「グリーフセラピー(死を受け入れるようにする心理カウンセリング)」を専攻していたんですが、実際に勉強中に実父をガンで失くしているので、実体験もできたので非常に勉強になりました。

本当に「口腔外科」領域のガンは審美的な事(顔面が崩壊してしまう)、機能的な事(食べにくくなる、話せなくなる)、転移が早いなどなど、たちの悪いものが多いです。迅速な治療が必要なので、必ず施設の整った総合病院口腔外科に行ってください。

ちなみに、なぜかガン疑いの方は私の外来日初診に多く、主人に「いくみさん、引くね…」と言われます。久保はまだ初診でガン疑いの方は当たっていないとのこと。

ガン疑いはないに越したことはないんですが、私が留守の際に久保にもガン疑いの方の対応ができるように今後指導を入れていきたいと思ってます。

とにかく、口の中に異常を感じたら「総合病院まで行くのもなんか気が引ける」と言う方は開業の口腔外科専門の先生に一度診てもらってください。

必要であれば迅速に総合病院口腔外科に紹介を行ってます。早期発見早期治療をお勧めしています。


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