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2013年8月 4日 (日)

坂口良子さんの闘病記を見て

どこまで続くか真面目記事のコーナーです。

先日、某テレビ番組で今年3月に亡くなった女優・坂口良子さんの闘病記が放映されました。

発見時がんステージ4の末期、享年57歳。早すぎるその死とご主人と闘った闘病生活について、私もステージ4の父を闘病し見送った身として感想を述べたいと思います。

昨年の8月に坂口良子さんの結婚式の模様が放送された時に感じた違和感、たぶんそれは医療関係者の方ならなんとなくお分かりになったかと思うんですが、顔色が非常に悪かったんです。「ただ単に疲労で顔色が悪い」のではなくメイクや元気そうな雰囲気では隠しきれない「どこか体が悪い」というオーラが出てました。

そして、それから7か月後の訃報。

ああ、やはりあの時の顔色の悪さはそれを物語っていたのかと思いました。しかもあの結婚式の際はケモ中(抗がん剤治療)であることに驚きました。

先日、告知からお亡くなりになるまでをご主人の尾崎氏が語っているのを見ました。

体調不良で病院に行き検査をした結果、がんと診断。しかもステージ4※

※注略…ガンのステージについて

◎ステージ1
腫瘍が小さく、隣接する組織に広がっていないがんです。早期がんと判断されます。

◎ステージ2
比較的腫瘍が小さく、広がりも周囲のリンパ節や隣接する組織までにとどまっている状態です。

◎ステージ3
腫瘍が比較的大きく、隣接する臓器にまで広がっている進行がんのことを指します。

◎ステージ4
腫瘍が離れた他の臓器(肺、骨、肝臓、脳、腹膜、胸膜)まで広がっている状態で、遠隔転移がんと呼ばれます。いわゆる末期がん。

坂口さんの場合、主治医からご主人さんに先に告知がありました。そして奥さんにはがんは告知してもステージ1だと隠してほしいという事になりました。そして、お子様には病気を隠してほしいと。

テレビで再現VTRが流れていましたが、抗がん剤治療はあんなに簡単なものではなく壮絶です。私個人としては多くのガン患者の方と触れ合ったり父親のがん闘病を見て思うんですが、きちんと告知をし病気を向き合い治療を受けた方が良かったのではないかと思います。

女優さんという仕事柄それが難しかったんだとは思いますが…。

やはりがんは残された時間が限られます。

そして闘病はかなりキツイものになります。

それをどのように乗り切るか、痛みをどのように緩和するのか、がんをどのように受け入れるのか、など現在「がん緩和ケア」というのはどの病院でも積極的に取り入れており、残された人生をどのように生きるのかを主治医や看護師、心理の専門職を取り入れて総合的に闘病生活を考えることができる時代になってきています。

軽いがんと聞かされたまま、副作用の強い抗がん剤治療は女優である坂口さんにはとても心身ともにきつかったと思います。再現ドラマでは非常にライトに描かれてましたが、あんなものではありません。もっと壮絶な闘病であったと予想されます。

私も父の闘病中の看病をしていたので、末期の壮絶さを知っています。ご主人さんは一人でそれを抱え本当に本人以上に大変でお辛かったと思います。

心理士である私の私見では、がんは本人に告知して、家族と共に残された時間をどう過ごすのかを選んで頂きたいと思います。それはいろんながん患者を見てきたからこそ思うこと。壮絶な抗がん剤治療や放射線治療で闘う道をとるのか、緩和ケアであえてがんと闘わない道をとるのか、残された時間をどう過ごすのかなど、自分で考えたい、考えるべきだと思います。

私の父は「闘う」を選んだのですが、それはもう「死闘」というのにふさわしい壮絶な闘いでした。それを見ていただけに坂口さんの闘病記は胸が痛くなりました。あんな綺麗事ではありません。

坂口さんは抗がん剤と疼痛コントロールのための麻薬を使用し、カツラをかぶって仕事を亡くなる5日前まで仕事をされていたとのこと。昏睡前までそれを周囲に悟られなかったという女優魂には恐れ入ります。やはりプロなんだなと…。プロが故にそのような辛い道を選択されたんだと。

私が一番可哀想だと思ったのは娘さんです。亡くなる2日前にがん告知をされて変わり果てた姿の母と対面し言葉をかわせなかったことです。

がん闘病は何度も書きますが凄まじいです。それを見ずに見送ったことは、はたしてどうだったのか。

私は娘さんはきちんと母の病気を理解し、看病し、母の死を受け入れ、そして見送ってあげた方が若い彼女にとって良かったのではないかと思います。ご主人も一人で抱え込むのではなく、家族に相談しどのように死を受け入れ送り出してあげるか、相談すべきだったのではないかと。

いきなり亡くなる前の変わり果てた母の姿を見たのは相当なショックだったと思います。

私も自分の父親を亡くなる1週間前から泊まり込みで看病しましたが、言葉が交わせなくなり、腹水が溜まり、日ごとに衰弱し、意識がなくなっていく様を見届けました。私は医療関係者だったので私の遺志で主治医に無理な延命処置で苦しめずにできるだけ楽に自然な形で旅立てるようお願いし、最後は簡単な血中酸素濃度を測る器械のみ装着で娘の私に見送られ旅立ちました。

チューブいっぱいで無理な延命処置のまま旅立たせたくなかった、最後の親孝行だと私は思っています。

医療関係者ということで、死後のエンジェルケアにも一緒に看護師さんと入らせてもらいました(一般の方はたぶん入らせてもらえないと思いますが)。導尿などの最低限の医療器具を外したがんと闘った父の姿は、がん自体と治療の抗がん剤、放射線ですべてを食い尽くされ骨と皮になっていました。それをみて私はがんと闘うことに疑問を感じ、私見で述べたように私ならがんと闘わずに緩和ケアで最期を看取ってほしいと感じました。

医療現場では「がん」はありふれた病気です。

だからこそ、「がん」との向き合い方は医師・看護師・心理の方々はいろんな選択肢を現在用意できるよう勉強されています。

自分ががんになった場合、どのように受け入れ残された人生を生きていくのかを考えるために、自分の身内ががんになった場合はきちんと闘病を見守り考えるべきだと思います。

私は父の看病と闘病生活で多くのことを学びました。

女優として生き、そして女優のまま逝かれた坂口さんに「お疲れ様でした」と、そしてご主人さんに「一人で抱え闘病し大変でしたね」とお伝えしたく、私見で書かせていただきました。

坂口さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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