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2017年10月28日 (土)

医療って怖い…コウノドリ19巻を読んで開業10年で思う事

コウノドリの19巻がアマゾンで届きました。

テレビではコウノドリのドラマが放映されてますが、原作漫画ありの医療ドラマはお涙頂戴過ぎて苦手なのでドラマは見ていませんが単行本はすべて集めています。

今回の19巻は久々にシビアな臨床のお話で読み応えのありました。

大まかに分けて2本立てで、1本目がそろそろ中堅の域に入ってくる医師が自分の能力を過信しオーベン(指導医)や他の先輩・チームの看護師などの意見を聞かずに誤診。患者から医療ミスではないかと信用を無くしプライドがズタズタに。結果としてバーンアウトしてしまう(本人は自分の能力のなさを感じ大学病院に戻るというところで話は終わっていますが、おそらくその後は自分を見失い漂流してしまうと思います)。

2本目は医療の世界に身を置いていると一番怖い「大量出血」について。

どちらも臨床に身を置いているとつくづく考えさせられる内容でした。

1本目の中堅のお話は、ある程度臨床に慣れてきて自分に自信がついてくると必ず犯してしまいがちなこと。自分の能力を過信しすぎる時に必ずぶつかる壁でそこを乗り越えられるかが大きな分岐点だと思います。

謙虚に自分の能力を理解し、謙虚に先輩の指導やアドバイスを聞く、そして日々精進して細く長く臨床業務が行えるかが医療の現場に身を置く秘訣だと思います。

むしろ臨床経験が長くなればなるほど日々の臨床が怖くなってきます。若いからこそ故の自信というのがある意味羨ましく感じたりします。

そして2本目の「大量出血」について。読んでいて血の気が引きました。

外科では「出血が止まらない」という事は「死」に繋がります。

口腔外科の開業医である当院でさえ過去に1件だけ、何をしても口腔内の出血が止まらず「もうダメかも」と主人と血の気が引く「大量出血」がありました。いまだに思い出すだけで背筋が凍ります。

本当に出血って怖いんです。

ギネ(産科)の先生は大量出血や止血困難、最近話題の訴訟問題など本当にリスクが高く、こんな状況だと今後ギネになりたいという医師はいなくなるんじゃないかな…と思います。

医療の世界は大げさかもしれませんが、本当に重い責任で押しつぶされながらみんな自分の精神を削って診療を行っています。

主人と私が資格をとった20年前と比べ今は何でもかんでも患者からの「訴訟」というリスクを背負っているので患者を診るということに神経が擦り切れてしまいます。「患者」が怖い、そんな医師の話も良く聞きます。

もし、私たち夫婦に子供がいたら医者になりたいと言ったら絶対反対します。

日々主人と「自分たちの医院」について話をしています。

その中でいつも話題に出ることが「自分たちの診れる範囲」での診療を、ということです。

開業した10年前は私も常勤で常に主人のアシストができた事もあり、主人も病院口腔外科で診るようなハイリスクな外科処置もしていました。

口腔外科では「花形治療」と言われるインプラントも、以前は積極的に行っていましたが最近はよっぽどのことがないと行っておりません(HPにも「当院では積極的にインプラントは施術しません」と書いてます)。開業医で診るのは難しい症例は無理をせず近隣の病院口腔外科に紹介で送るようになりました。

年を重ねて臨床を重ねて気付いたのは「無理をしない」という事です。

開業して10年経った今だからこそ「日々安全に」「自分たちの出来る範囲で」の診察を行う大切さを感じています。

私たちの診療ポリシーとしては患者が増えたとしても「代診」の先生を置いての治療ではなく、自分たちで患者さんを「診る」という事をずっと心掛けてきました。

そのポリシーを守り続けるには今後はより「自分たちの診れる範囲の治療」を守って安全に治療を行わなければなりません。

上記のようなことを踏まえて、最近の増患により「安全で自分たちが診れる」の治療範囲のキャパシティーを現在超えていると判断しました。

そういった理由から、適正人数による診察範囲を考えて「小児歯科、入れ歯、出血を伴わないと思われる虫歯治療」などについてはお問い合わせを頂いた際に「口腔外科専門のため近隣の小児・一般歯科標榜のある歯科医院さんへの受診」をお願いするようにとスタッフに申し伝えております。

キャパシティーオーバーでの診察は医療事故の原因になります。

より安全な診察のために、適正人数での診療のために、地域の医療分業のために、どうぞ何卒ご理解ご協力をお願いします。

ーーー

本当に医療って怖いと「コウノドリ」19巻を読んで感じたことと、他人事ではないと痛感した次第でした。

主人がキャパオーバーで燃え尽きないように適正患者数のコントロールをするのも私の役割です。

スタッフと力を合わせて主人を支えていきたいと思いますので今後ともご理解の程よろしくお願いします。

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