SLE治療薬サフネロー 15回目 「初診」の壁
膠原病の難病「全身性エリテマトーデス(略してSLE)」の新薬「サフネロー」点滴の治療記録です。
興味のない方は飛ばして下さい。
「サフネロー」の治療に関する患者目線のSNSが少ないので私の治療記録を記載します。今後同じ治療を受ける方の参考になれば幸いです。
過去の記事は SLE通院日記・サフネロー というカテゴリーを作っていますのでそちらに記事が入っています。
ーーー
※2024年8月に受けたサフネローの事を書いております。
早いものでサフネローの点滴を受けるのも15回目となりました。
新大阪駅の向かいのダイキンの広告看板の温度計は15時の時点で39℃でした。
このキャラクターは「大チョピくん」と言うのですが、あまりの暑さで顔が紅潮し全身が青ざめてます。蜃気楼が出そうなくらいの灼熱地獄のホームだったので写真を写すスマホの手も狂ってしまい肝心の大チョピくんに電線丸被りという大失態です。
先月もホームで息をするのもしんどいくらいの暑さと湿度と書きましたが、今回はもう命の危険を感じるような暑さと湿度です。暑さで空気が肺に上手く入らない感じです。
通院はいつも前日に神戸入りして翌朝一番に病院へ行きます。
今回は神戸入りした当日に関節エコー検査、そして翌日朝イチからまた診察で2日連続通院の鬼ハードモードです。
前日の関節エコーは14時からで、なんとなくケチって炎天下の中ビミョーに駅から遠い病院まで歩いて行ったら頭クラクラ・顔面蒼白・汗とまらないで顔見知りの看護師さんに「まさごさん、顔色めっちゃ悪いやん。熱中症になってない?」と左手指と左ひじの関節エコーの検査の後に倒れそうな私に声をかけてくれてしばらくベットで休んで帰りました。病院にきて悪くなってあかんやん!と看護師さんにツッコまれました。
もうメンドクサイからこのまま診察してほしいんですが大きな病院は融通が利かないので翌日もう一度通院です。
さかのぼる事前回の通院後、人間ドックの結果「要精密検査」で連絡が入りました。
主人と私はハイメディック京大病院という人間ドックに年1回検査に行っています。通常の人間ドックよりも検査項目が多くフォローが手厚いのがウリです。
人間ドック後にハイメディックからすぐ電話がかかってくるのはだいたい嫌な知らせで、スマホの着信をみて何か引っかかったなとすぐに確信しました。
案の定、肺と大腸と乳房の要精密検査でした。肺と大腸に関してはPET-CTが光っているので至急受診してほしいとのこと。
PET-CTとは、静脈からFDG(ブドウ糖を含んだ放射線フッ素)を注射してCT撮影をすると、がん細胞はブドウ糖を多く取り込む習性があるのでがんと思しき部位が光る習性があり高い精度で診断が行える検査です。
肺に関してはここのところずっと痰が止まらず息苦しさを感じていたので自覚症状はありました。大腸は全く自覚なし。PETが光るという事はがんに限りなく近いかも、というサインです。いわゆる診断名で言う所の「○○がん疑い」です。
乳房に関してはマンモで今まで映っていないモノが写っている、でした。
ちょうど呼吸器内科は神戸の免疫内科の先生が次の受診の際に紹介初診を出してくれていたので予約していて、大腸に関してはおそらく大腸カメラ精査になるので近場での受診が良いとの事で田辺のクリニックへ、乳房は神戸の通院中の病院は乳房でめっちゃ有名なので再初診は一番早くて10月で受診することになりました。
というわけで、翌日。8時30分病院到着。ハイメディックから呼吸器内科への紹介状の封筒が大きくてかばんに入らず。夏の通院はただでさえ扇子などかさ張るのにA4の封筒は非常に荷物になります。
本日のお品書きは①採血採尿②免疫内科③呼吸器内科初診④サフネロー点滴 になります。
第一目的のラスボス免疫内科主治医には今回比較的待ち時間が少なく会うことが出来ました。ラスボスへの出会いが押すと必然的に他の科や処置の待ち時間も長くなるので「予約時間通り」に診察してもらえるともう☆☆超ラッキー☆☆(☆をつけたくなるくらい)と舞い上がりそうになります。
ハイメディックから「人間ドックであれこれ引っかかりましたからお知らせです」という主治医用の情報提供診療書を渡すと「あーPET光ったんや。ちょうど呼吸器予約とっててよかった。呼吸器初診担当の○○先生はガンたくさん診てる先生だから…。大腸は下剤飲むから地元でOKやね。僕的には大腸が心配やけど。乳腺はやっぱり劇混みだからだいぶ先の予約になるね。あ、橋本病でてきてるから気をつけないと」と手紙を見ながら言われました。
橋本病にかかっているのは知りませんでした。エコーとデータからこちらはまだ様子見で薬まではいらないかな、と言った感じらしいです。
いつものルーティンの検査結果は特に変わりなく、左手指と左ひじの痛みは今のところ骨の異常は見当たらずなのでリウマチ系ではなくやはり免疫系の異常でなにかしらの痛みが出てるのでは?とのことでした。
「今から呼吸器の初診、がんばってきてね…だいぶん待つよ」と主治医に背中を押されて次の呼吸器内科初診へと向かいました。
呼吸器内科外来は増築増築でガン細胞のように増えまくった別棟の端の端にあります。
受付にカルテとかさ張る紹介状をを出した時には待合室はゴホゴホ&ゼエゼエ患者多数、酸素を持っている方多数、みんな待ち時間長すぎて仮死状態でした。これは待つの覚悟がいるなと問診表を記入しながら感じました。
私は問診はけっこう細かく症状を書くタイプです。初めての初診医の前では緊張して伝えたい主訴を言いそびれてしまうので箇条書きで症状を書きます。
そして私も仮死状態の患者さんの一員となりました。
待つこと2時間経過。サフネロー点滴がなんやかんやで施術に40分~50分(待ち時間を除く)を考えるとこれ以上は帰りの予約している「特急くろしお」に間に合わないので意を決して受付に「和歌山から通院していて帰りの特急の予約をしているのとこの後点滴もあるのでまだですか?」と聞いてみました。
和歌山・特急予約している・点滴あり は効いたようで次に診てもらえるとの事。
やっと呼び出されて「こんにちは、お願いします」とドアを開けると、椅子がふんぞり返るくらいにふんぞり返った「いかにも慇懃無礼」な年配の男性医師が挨拶もせずにPCと紹介状のみを見てこちらに目さえ向けてくれません。
「あー、このタイプか…(私の心の声)」
私は初診が実は大の苦手です。
これだけたくさん疾患を抱えていろんな科にかかっていると、ドアを開けて入った時の第一印象でだいたいこの医師はこんな感じと分かってしまいます。私の一番苦手とするタイプです。今は若い医師が多いのでこの感じ系統は最近あまりお目にかからなかったのですが。
若くて当たりが良い免疫内科主治医が「たくさん診てる先生だから…」の「…」部分の言葉を濁す伏線回収ができたと感じました。
初診、とくに紹介状を持ってくるような紹介初診などはベテラン医師がまず診察をして診断が下れば下の医師に回したりします。なのでこの医師が超ベテランなのはよく分かります。
「あー…ハイメディックのPETねえ。あー…○○くん(免疫内科主治医)からも院内で初診依頼きてるけど。うーん」とうなってます。
沈黙が長いので「すみません、和歌山から来ていてこの後点滴もあるのでもう予約している特急の時間ギリギリなんです」と言うと「あー…看護師さん検査室…あ、もう連絡入れてくれてる?あー…今からんじゃあ検査行ってきて」と結局挨拶も顔も見る事すらなく検査室に行くことになりました。
おっちゃん、初めて会う人には挨拶は社会人の基本だろ?と感じながら肺活量などの生理検査を受けたのですが、その日はものすごく痰が絡んで肺機能検査が上手く出来ず。技師さんが呼吸器内科に連絡して痰がひどくて上手く採れない旨を伝えると「取り急ぎ今日はそれでいいらしいから診察室に戻って」と言われました。
検査から戻ってきて呼び出しがあり診察室に入るとやっと医師がコチラに向いて「あー…和歌山からきたの?くろしおで?ワシも若い頃に和歌山の○○病院に行っていた…」と話しかけてきました。
それ以降はまたこちらを向くことなくPCをカチカチしながら「あー…今日はもう時間切れか。PETはガンではないと思う。毎月わざわざ来てるの?じゃあとりあえず今日はステロイド吸引出しておくから来月きて」で終わりました。
なんか特に説明もされず医師と何もコミュニケーションすら取れず呼吸器内科の初診は終了しました。
よくありがち2時間待ち1分診療でした。見事に「初診の壁」の洗礼を受けました。
はぁこれで次点滴かぁ、と処置室にカルテを持っていったらいつも点滴を担当してくれる看護師さんに「まさごさん遅ーい!今日呼吸器入っとったやん(神戸方便)え?電車間に合わん?すぐにベットあけるわ」とマッハでベットを空けてくれてサフネロー点滴開始してくれました。
医療関係者の優しい言葉って嬉しい!と点滴を受けながらひとり涙にむせびそうになりました。なんだか今日はサフネローが身と心に沁みました。
そして点滴が終わったら14時。お昼ご飯も食べ損ね会計を終わらせてタクシーで駅まで戻り新大阪まで新快速で向かい冒頭の大チョピくんです。
初診って医師の人柄も分からないのですごく苦手です。ものすごく疲れました。
呼吸器内科で処方されたのは「レルベア(画像お借りしました)」で喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬です。吸入ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルと、長時間作用性β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩が配合された薬剤です。
吸入ステロイド薬は気道の炎症を抑えて発作を予防する成分、β2刺激薬は気管支を拡げて息苦しさを和らげる成分です。
蓋を開けて粉薬を一日一回吸引します。吸引後はこの粉が口腔内カンジタ症を引き起こしやすいのでうがい必須です←これ重要!
即効性がない薬でこの記事を書いている時でちょうど1カ月使っているのですが効いているのか全く分からず痰も相変わらずゼロぜロです。
大腸カメラも田辺市内で受けたのでこちらは別途記事にします。結論から言うとPETが光っていたものの大腸がんではなく一安心です。
そして、8月は5週目があるので恐怖のサフネロー切れの1週間があります(サフネローは基本4週間に1回投与だが高額のため1カ月に1回しか保険が通らないので、同月に5週目がある月は翌月投与になる)。今まさにその期間でだるくてめっちゃしんどいです。免疫内科主治医も「最近3週目くらいでサフネロー切れてきたのが分かるという患者さんが増えてきた。論文データ的にはそんなことないんけど体感的にみんな3週目位からしんどくなるみたいやね」とのこと。サフネロー点滴患者みんなが感じるところは一緒でよかったです。
こういった他愛無い雑談をしてくれる免疫内科の先生が神に見えます。私の【推し】一番の先生です。
ということで、8月は人間ドックの結果に振り回され、苦手な初診の壁にぶつかり、免疫内科の主治医が神にみえた1カ月でした。次回は9月通院分と大腸カメラについて記載予定です。
同じ治療を受けている方の少しでも参考になれば幸いです。
« 蝉の声もかわり | トップページ | 【スタッフコラム】今週の担当:稲住 »
「SLE通院日記・サフネロー」カテゴリの記事
- SLE治療薬サフネロー番外編・大腸カメラに行ってきた(2024.09.28)
- SLE治療薬サフネロー 16回目 真夏の特定疾患難病更新巡業はつらいよ(2024.10.05)
- SLE治療薬サフネロー 15回目 「初診」の壁(2024.08.24)
- SLE治療薬サフネロー 14回目 ステロイド離脱後に現れしもの(2024.08.03)
- SLE治療薬サフネロー 13回目 未開のステロイドゼロへ(2024.07.06)